ちょっとひと息

フォスフォフィライト合金の腕に秘められた伏線を考察

2021年3月3日

今日はまた宝石の国にまつわる金属について。

ちょっと考察があってシンシャも少し絡んでくる。

ネタバレありなのでこれから読む人は回れ右!

とにかくまだ読んでない人はまず読んで欲しい。

 

映画「花束みたいな恋をした」で菅田くんと有村架純ちゃんもこの漫画を2人で読んで涙を流していた。

なぜ金と白金の合金なのか

フォスフォフィライトの腕が流氷に持って行かれて、金と白金の合金の腕を仮留めしたらそのまま引っ付いちゃうんだけど

金(Au)の性質は重くて柔らかく、展延性がある。

白金(Pt)は元素周期表で行くと金の左隣りにあり、金と白金は物理的性質が似ている

周期表の配列は化学的性質の似た元素が縦に、物理的性質の似た元素が横に並んでいる。

水銀(Hg)やカドミウム(Cd)の排出(デトックス)をやる時に亜鉛(Zn)が重用されるのは周期表上でこの3つは縦に並んでおり(第12族)、化学的性質が似ているからでもある。

話が逸れた。

白金いわゆるプラチナとは

色は銀色。ただ融点がめちゃくちゃ高くて1772℃なので、昔の技術では精錬が非常に難しかったとされる。

宝石の国の世界観で、作者の市川春子先生はなぜこの金と白金という2つの金属の合金の腕をフォスに付けたのだろう?

白金を溶かす高度な技術がすでに存在していることの示唆なのだろうか?

月で溶解したものが浜辺に落とされていたのだろうか?

フォスのアゲート・貝殻の脚にあれだけの伏線をめぐらす作者なので、これにも何か伏線があるのではと考えずにはいられない。

 

「あれだけの伏線」は10巻まで読み進めた者だけが味わうことができる衝撃。

読んでて一人で部屋で声あげたわ(実話)

金の精錬に水銀が使われたり…とか…?

金と白金の合金の腕…

月で粉々に砕かれた石…

これらのピースと、シンシャ(辰砂)から生成する水銀というキーワードから

どうしても「金の精錬」をストーリーに絡めたくなるのは私だけでしょうか?

金の精錬とアマルガム

というのも、昔によく使われた技法で水銀に砂金や砕いた金鉱石を溶かしてアマルガムを作り、火器を使って水銀を大気中に揮発させて金のみを取り出すというものがあって

ここでシンシャが大活躍するのではないか?という一個人の勝手な妄想。

このアマルガムを使った金の加工は昨日の記事でもちょっと触れたけど

銅像に金メッキを付けるときは①水銀に金を溶かしてアマルガムを作り②銅像の表面に塗る。③炭火などで表面を加熱すると④水銀が蒸発し純金が残って銅像にしっかりと付着する。

というもの。

水銀の健康被害を知ってたらとても手出しできる話しではないんだけど…。

Artisanal Small-scale Gold Mining(ASGM)

この技法のヤバさ、賢明な皆さまならわかりますよね?

大気中に水銀が放出されるんですよ。

こういった技法は有価鉱物の採掘が期待できる発展途上国で今でも行われていて、環境や人体への影響が深刻となっているそうな。

気になった人はASGMとかASMって単語で調べてみて。

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