分子栄養

ビタミンAとレチノイン酸

2021年3月12日

脂溶性ビタミンの2大巨頭のうちの一つ、ビタミンDについて先日書いたのですが

ビタミンDとビタミンA(あと実は甲状腺ホルモンも)は体内での受容体を共有しているので

ビタミンDの摂取量を増やした場合に、相対的にビタミンAが不足する可能性があるんですね。

ニンジンじゃダメなの?

ニンジンを食べてβカロチン摂取しておけばビタミンAは大丈夫でしょ!?って昔は思ったりしたこともあるけど

実はβカロチンって体内で利用されるのにレチノール→レチナール→レチノイン酸って代謝の過程を経てようやく生体利用に適う形態になる。

意外と代謝経路が複雑だなって思ったんだけど、それには理由がありました。

レチノイン酸製剤と奇形

レチノイン酸は細胞の分化に影響を与えるので皮膚の乾燥や眼の乾燥、免疫改善の際の強力なアイテムとして分子栄養療法ではビタミンAはよく使われる。

ただし、細胞の分化に寄与するためレチノイン酸を直接的に摂取することは妊婦さんや妊娠の疑いのある人には禁忌となる。

要するに奇形を起こす可能性がとても高い。

レチノイン酸製剤はガンや白血病の治療として使われる。

体内でのレチノイン酸は厳重管理

βカロチン(植物由来)やレチニールエステル(動物由来)から分解されて出来るレチノールは肝臓に貯蔵され、必要分だけ血液に放出される。

細胞内に取り込まれるレチノールはレチナールに変換後、さらにATRA(オールトランスレチノイン酸)や9-cis RA (9-シスレチノイン酸)という形のレチノイン酸に変換され、

この2種もそれぞれバランスを取りながら作用する仕組みになっている。

要はレチノールからレチノイン酸への一連の変換は体内で厳密に管理されているということ。

レチノールを入れるのが肝

いつもビタミンA摂取をすすめる時に置いてるこのミセル化されたビタミンA

Kirkman Labs, ミセル化ビタミンA、30ml(1液量オンス)

これはパルミチン酸レチノールが配合されていて

人の体内では主に皮膚で蓄えられ、レチノイン酸に変換される。

このレチノイン酸の前駆体であるレチノールを入れるところが肝

レチノールよりも光学的に安定性が高いので化粧品や日焼け止めにも配合されるそうな。

 

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