日本語でひとえに「葉酸」と記載されるコレ、
実は種類がありまして
どのタイプを使うかは非常に重要です。
特に妊婦さんは葉酸の摂取について言及されることも多いと思いますので
必須の知識です。
妊婦さんと葉酸
ナチュラルに韻を踏んでしまうのは癖なので許してください(オヤジ化)
食事から摂取できる葉酸の吸収率は約50%と高くないこと、
そして妊娠中は葉酸の需要が亢進するため
(胎盤、乳房における分布量も増え、胎児のDNA合成に必要となる)
普段の倍近い葉酸摂取が推奨される(400μg/日が目安)も、
カロリー摂取の増加は最低限に抑える必要があるから
食品だけで亢進した葉酸需要をまかなうのはかなりの無理ゲーなのでは?
ということで妊婦さんには葉酸サプリメントの選択肢が提示される。
葉酸サプリの種類
大きく分けて3種類
1、folic acid
2、folinic acid
3、5MTHF
それぞれについて説明するね。
一般的に葉酸と呼ばれる(folic acid)
何も考えずに一番安価な葉酸サプリを購入しようとするとこのfolic acidに行き着く可能性が高い。
実際にiHerbの葉酸サプリメント、過去1週間のランキング(2021年7月24日現在)で
2位につけてるNow社の葉酸もこのタイプ。
葉酸が強化されている食品に人工的に添加されるのもこのfolic acidタイプ。
ただしこのfolic acidは体内での活性が高くない。
(活性が高い=体内で利用されやすい)
例えば葉酸の欠乏は妊婦さんでいうと流産や先天奇形、発達障害、神経管欠損を招くので
しっかり摂りたい栄養の1つなんだけど、
体内で利用できていなかったら、
せっせとfolic acidタイプの葉酸サプリを飲んでも目的を果たせないんだよね。
フォリン酸(folinic acid)
folic acid→(中略)→folinic acid→(中略)→5MTHF
という順序で葉酸は活性化されていくんだけど、フォリン酸はその活性の中間に位置する。
フォリン酸は体内で比較的容易に代謝されて5,10‐メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10‐メチレンTHF)となる。
5,10‐メチレンTHFは先日の葉酸回路に登場した葉酸の活性形態のひとつ。
フォリン酸はDNA合成を助ける役割もあり、
その不足は赤血球の合成障害も引き起こし、
結果、赤血球の大球化となりMCVが上昇する。
(血液検査でMCVの数値上昇から葉酸、ビタミンB12不足が読み込めるのは、この機序による)
5‐メチレンテトラヒドロ葉酸(5MTHF)
2番目のフォリン酸(folinic acid)タイプの葉酸でも十分でない人がいます。
そういう方にはこの3番目の5‐メチレンテトラヒドロ葉酸が選択肢となる。
ではフォリン酸がダメな人というのは誰かというと、
5,10‐メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(略してMTHFR)に異常がある人です。
フォリン酸の活性型は5,10‐メチレンテトラヒドロ葉酸なので、
その還元酵素(MTHFR)に異常がある場合、メチレーションが上手く回らない。
この酵素の異常は遺伝子変異によるもので、なんと日本人の45%に見られるという。
酵素は人によって形が異なるんでしたね(個体差)
簡単な遺伝子検査でわかるそう。
ちょっとホッとしたのが、iHerbの週間ランキング1位がこの5‐メチレンテトラヒドロ葉酸(5‐MTHF)だったこと!
Jarrow Formulas, メチル葉酸、400mcg、ベジカプセル60粒
皆さん、各葉酸の違いを理解した上で葉酸サプリを選択されているなぁと。
まとめ
葉酸サプリメント選びのカギとなるのはMTHFR(5,10‐メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)の遺伝子変異があるか?無いか?
遺伝子変異がある場合は葉酸回路に隣接するメチオニン回路も回らなくなるので
ホモシステイン→メチオニンの変換がうまくいかずに高ホモシステイン血症を引き起こす原因となる。
(高ホモシステイン血症は動脈硬化による脳卒中、心血管疾患リスクを高める)
ホモシステインについて詳しくはこちら↓
またメチル化が抑制されて自閉症の発症に関わるともされる。
メチレーション回路をまわす目的で摂るなら、
葉酸単体ではなく、メチルコバラミン(ビタミンB12)も必要です。
ビタミンBコンプの組成である葉酸は
”L-5メチルテトラヒドロ葉酸塩”だし、
メチルコバラミン(ビタミンB12)配合で
改めて「好きぃ…」ってなりました。
Thorne Research, ストレス B-複合体, 60 ベジカプセル